まとめ

昨年もそうだったが、今年もガツンと頭を殴られた。 世界の進むスピードが速い。速すぎる。

特にびっくりしたのは、
 (1) hybrid GCM by NCAR, DWD, NVIDIA: もう何年も前から手を付けてる
 (2) AIモデル: 日進月歩で技術が進みすぎる

ひと昔前は、研究者は一仕事したら、しばらくは安泰だった。もう許されない。技術進展が早すぎる。常に情報にキャッチアップして戦い続けないといけない。しんどい時代になった。

この感覚は、一昔前に聞いた実験系の化学研究と同じである。マテリアルが世界共通であるように、データ・AIが世界共通になってきて、「ユニークネス」で戦うのがどんどんと難しくなってきている。

AI研究について

 巨大企業の研究はでかい。勝てる気がせん。NCAR / DWDなども大きなプロジェクトを動かしている。

ハイブリッドシステムは、2~3年前から手を付けていた結果が出始めている。はやい。(NCAR, NVIDIA)。(1) でっかく投資して、(2) 成果が厳しく問う。我々がムーンショットで四苦八苦しているくらいのマネジメントは、効かせているのだろう。

一方で、そのような超Bigな研究機関以外の研究は、何とかなりそうではある。技術的には、そこまで高度なことはしてない。問題をうまく設定して、その問題を解くために研究をしている。ただ、問題設定はうまい。

発表について

うまい。研究としての技術レベルがそこまで高いのか?というとそこまででもない。やってることは、ただの感度実験だったりする (SAI)。ただ、その文脈付けが抜群にうまい。やったことの価値を高く見せるのがうまいのである。あと、口頭発表はみんなうまい。

無かった話

カオスとか、潜在空間とか言う話はほとんどなかった。量子計算は限られている。

いわゆるトレンドに乗ったAI研究のキャッチアップは早く、そこを寄ってたかって叩きまくってる印象。日本の地球科学におけるAI研究は、現状周回遅れだが、追いつくのはそこまで困難ではないだろう。情報さえキャッチアップできれば、技術的な難易度はそこまで高いものではない。

小槻の反省

英語の勉強もっといる。これ、しばらく滞在するのが一番。全体的にあんまり質問しなかった。反省。

状況からの推測

特に口頭発表で聞く大学は、ほとんど聞いたことのある大学ばかりである。選択と集中は、大学でも、研究室スケールるでも米国では進んでいる印象を持った。大きなグループに投資して、そこで大きなものを作る。PIのセンスを見極めているのだろう。日本でいう基盤Cクラスの研究費ではなく、基盤A~くらいの予算を競争して取り合っているのかなと思う。

日本において、なんで知識の集約化が進まないのだろうかと、改めて考えさせられた。リーダーシップの欠如かもしれないし、属人化傾向にあるからかもしれない。しかし、護送船団方式の予算で、ちゃんとマネジメントを問わないのも問題じゃなかろうかと思う。

研究室としての勝ち筋を見出すには、もうちょっと時間がかかる。AI + JAXAあたりがうまく相互作用できれば、強くなってくる気がする。