2026年になり、自分の中でも何か新しい取り組みを始めようと思いました。その一つとして、研究室のWord Pressを使い、月に1本、コラムを書いていこうと考えています。このコラムでは、研究の進め方や仕事の進め方などについて、僕なりに「これは大事だ」と思っている考え方を、少しずつシェアしていくつもりです。このような取り組みを始めようと思った理由は、大きく二つあります。

原則や考え方を伝えることの重要性

一つ目は、2025年の変化として、「原則」や「物事の考え方」を伝えることの重要性を強く意識するようになったことです。たとえば、サッカー日本代表を率いた岡田武史監督の「原則による指導」などを知る中で、単に答えや技術を教えるのではなく、判断の軸や原理原則を伝えることが、長期的には人を育てるのだということを改めて考えるようになりました。

2025年には、多くの研究者に「先生から何を教わりましたか?」と聞く機会がありました。そのとき、優秀な研究者の多くから返ってきた答えは、「技術や知識については、何を教わったかは正直よく分からないけれど、物事の考え方を教わった」というものでした。非常に重要な視点だと思いました。

物事の考え方や原理原則というものは、長く人に残るのだと思います。中国のことわざに、「お腹を空かせている人がいれば、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」というものがあります。これは、何か問題が起きたときに、答えそのものではなく、答えにたどり着くための考え方を教えなさい、という意味だと思います。そして、これは教育者として非常に大切な姿勢だと感じています。

自分自身の人生の評価関数から

二つ目の理由は、山口周さんの著書『人生の経営戦略』を読み直したことです。この本の中では、人生とは結局のところ**「時間の最適化問題」である**と述べられています。最適化問題である以上、自分はどこに時間を使うべきなのか、自分自身の評価関数、つまり人生の勝利条件は何なのかを考えなさい、という話が出てきます。

それを自分に当てはめて考えたとき、自分が大切だと思っている価値観や考え方が、より多くの学生や研究者に伝えていくことが、自分の人生の勝利条件として大事だと思いました。人の人生はいずれ終わりを迎えますが、もし何か大事な考え方を残すことができれば、それは一人の人間として、後世に何かを伝えていく一つの方法なのではないか、と考えています。

答えを与えないという自分なりの実験

そうした背景もあり、2025年の途中頃から、研究室のミーティングなどで「ここが困っています」という相談を受けたときに、すぐに答えを与えず、自分自身がどう考えて答えに至っているのか、自分自身の思考を分析して言語化する、という実験を始めました。これは自分にとっては難しいタスクで、例えば「次はどうしたら思いますか?」という問いに対してすぐに出てくる答えは、意外と分析が難しかったりします。自分の脳という非線形関数がすぐに返す「答え」の裏側では、いろんな背景知識・リスク管理・工程管理・フレームワークを使っているんだということが、この実験を通してわかってきました。

この取り組みを続ける中で、自分自身の中にある判断基準や原理原則を、自分自身も言語化する訓練をしないといけないと思うようになってきました。研究室のミーティングでは、その場にいる人にしか伝えられません。なので、自分が「これはシェアしてもよい」と思う価値観については、自分の言葉で、きちんと残していこうと考えました。

無理をしない形での継続

こうした文章を「時間を作って書こう」と思うと、なかなか続きません。そこで、まずは月に1本というペースを、自分なりの目安として設定しました。また、キーボードで一から文章を書くとどうしても時間がかかるため、トライアルとして音声入力を使い、効率化しながら進めてみようと思っています。理想としては、1本あたり30分以内で書ければ十分です。

正直なところ、これがどこまで続くかは分かりません。ただ、始めてみれば何か面白いことが起こる気もしています。幸い、研究室のホームページのブログを読んでくださっている方も、少数ながらいらっしゃるようです。そうした方々にも刺さるような内容を、これから少しずつ発信していきたいと思っています。