
2026年1月に、計4日間の航空機からのドライアイス散布によるシーディング実験を実施しました。2026年度以降に実施予定の実証実験の予備実験としての小規模なものであり、市民説明会などのELSI的取り組み、ムーンショット・目標8内の屋外実験のルールメイキングなども主要な目的でした。
具体的な一例として、2026年1月13日のシーディング実験の様子を紹介します。この日は寒冷前線が西から迫っていました。この寒冷前線上では雷も発生しており、寒冷前線が富山湾に完全に到達する前にシーディングを実施する必要がありました。また、当該時刻は能登半島の東側に雲が生成/消滅を繰り返しており、地上班はこれから成長し、かつ、降水をもたらしうるシーダビリティの高い雲発生を予測し、航空機からのドライアイスシーディングを支援しました。シーディングの効果は、目視で判別できるものではないため、現在もプロジェクトではレーダー・ライダーなどの解析が進んでいます。
シーディング実験・フィールド観測に実際に参加することは、小槻にとっても気象学・雲微物理に関する理解を深める良い経験となりました。シーディング実験では、前日の夕方と当日の朝に航空機運航会社であるダイアモンドエアサービス社も含めたブリーフィングを行いましたが、数値気象予測・衛星観測・地上観測といった得られる限りの情報を尽くして、「どの時刻に、どの領域に向かうのが、もっとも成功の確率が高いのか」を議論しました。またこのシーディング実験では、富山大学の安永・濱田さんに気象学者としての力の差を見せつけられ、小槻は一人の研究者としては悔しさと共に実験を終えました。おそらく同じような問題意識・課題は、実験に参加した研究者・学生・スタッフの多くが別の形で有しており、そういった点も多くのメンバーを巻き込んで実施するフィールド実験の魅力なのだと思います。
また航空機から観察する自然は非常に雄大で、美しく、改めて気象現象・雲現象の魅力に引き込まれました。こういった魅力もコミュニティに伝えつつ、今後も気象制御実現に向けて頑張ります。
(小槻)

図 (1): 2026年1月13日の静止衛星ひまわり画像。シーディングを実施した11:15JST頃であり、緑線は飛行機の航跡。能登半島には寒冷前線がかかり始めている。

図 (2): 旋回中の航空機の左舷側にみる富山湾にかかる寒冷前線。2026年1月13日11:30JST頃。美しい。
