Frameworkについて
- 研究室では、「守破離」をモットーに、研究室を離れても自走できる社会人・研究者の育成を目指しています。そのために、2025年度から「状況」ではなく「型」による教育を試みています。フレームワークは、その一環として作成しました。まずフレームに取り組むことで、論文執筆・発表資料作成などの基本的な型の習得を狙います。
- なお、他機関・研究室の方でも自由にアレンジして使って頂いて構いません。この辺の資料を公開している理由は、少しでも日本の科学技術力向上に貢献したいからであり、また、公開する価値があると信じているからです。自分がプレイヤー/PIなり始めの時に欲しかったことを、フレームとしてまとめています。他に重要な点などをフィードバックしていただけると、大変ありがたく思います。
- 問合せやアドバイスなどありましたら、こちら( kotsuki.lab(at)gmail.com )までご連絡ください。また不適切な記述や誤り、改善提案などご指摘いただけると大変ありがたいです。
- 研究室メンバー向け: どんな時も「Onedrive\Kotsuki-Lab2-Public\★WIP★_Write-AbstractManuscript(学会要旨・論文投稿に向けて)」に最新ファイルがあります。
公開しているフレームワーク一覧と説明
- (1) Scientific Writing Framework
- 科学論文の書き方手順。いきなり「見てください」と完成版を見せられ、困った経験からプロセスを刻む方向に転換。
- 基本はパラグラフ・ライティングなのだが、それを少しステップを刻んで落とし込んだ。
- (2) Abstract Writing Framework
- 特に英語のアブストラクト作成のためのフレームワーク
- また研究室として必要な情報を取得できるように、情報が取得できるように埋め込んだ
- 準備中...: PPT Presentation
研究室内限定フレームワーク
- Proposal Writing
- Scientific Writingに加えて、横の論理が重要になります
(1) Scientific Writing Framework: (英語) 論文作成・フレームワーク
科学論文作成は、いくつかのプロセスに分解されます。
Step. 1: Skeltonの作成(論文の骨組みの作成) <-- フレームワーク
Step. 2: パラグラフ・ライティング <-- サンプル
Step. 3: 全文執筆 (ここはサンプルなし)
Step. 4: 自己チェック <-- チェックリスト
Step. 5: 査読レスポンス <-- 参考情報
その他: ポンチ絵の作成
Step. 1: Skelton Framework
Step. 2: パラグラフ・ライティング
Muto and Kotsuki (2024; HESS) の論文を書く前のパラグラフ・ライティングの例。(武藤さん、ご協力ありがとうございます!)
・Muto and Kotsuki (2024) のパラグラフ・ライティングの例 (docx file)
Step. 4: 自己チェックリスト
研究室でメンバーが論文を書いたときに、添削を受ける前のチェックリスト。
Step. 5: 査読レスポンス と改定稿
基本的に、(1) コメントへのレスポンス、(2) 改定論文 (track changed)、(3) 改定論文 (clean) を3つセットで投稿する。(1) と (2) に、Kotsuki et al. (2025l GMD) の時のものを参考情報として掲載する (どちらもEGU Sphere上の公開情報でもある)。
(1) コメントへのレスポンス (docx file)
(2) 改定論文 (track changed) docxfile
レスポンスファイルのポイントは、長々と書き過ぎないことである。主要な論点以外は、簡潔で良いと思っている。ここは、流派があり得る。
改定論文 (track changed)は、コメントでどのコメントに対する修正かわかるように心がけて欲しい。確かに、Responseファイルにページ・行番号は書かれているが、それを査読者が自分で探すのは大変である。ボランティアで査読を引き受けてくれている査読者への感謝の気持ちを忘れてはならない。これは全世界に広まってほしい。他人の著作物を読むのは大変なのである。
その他: ポンチ絵の作成
(2) Abstract Writing Framework: 学会発表
特に英語のアブストラクト作成のためのフレームワーク。また研究室として必要な情報を取得できるように、情報が取得できるように埋め込んでいます。
(3) 卒論・修論チェックリスト
Frameworkについて (教員・指導者向けの補足)
作成の理由はいくつかありますが、(1) 若者にとっても基礎を抑えやすく、(2) 指導者にとっても添削をしやすく、という双方winな状況を生むためにFrameworkを創っています。
基本的な設計思想は、外資系コンサルの仕事の進め方で、「手戻りを減らす」ことです。これは、まず方向性のコンセンサスを取っておいて、それから詳細を詰めていく、という方針です。これにより、「どこからコメントしたらいいのかよくわからん」という、完成版の論文や提案書を見ることをなくしています。またフレームワークに必要な情報を埋め込むことで、情報が自然と上がってくる仕組みにしています (締切・共著者・想定学会など) 。
フレームワーク ≒ テンプレートと見做し、若者の思考する力を奪うのではないか、という批判はあり得ると思います。一方で、まだ研究をしたことがない/論文を書いたことのない若者のために、フレームワークの充実は重要だと思って、少しずつでも改良を試みています。指導者としては、若者がちゃんと成長できるように、階段を準備するのが大事な仕事だと思っています。この階段の作成は、自分が無意識に行う思考の言語化を行う作業なので、かなりの苦行の末に生み出されています (というのは、指導者側からみると理解して頂けると思います)。
ある程度成長した時に、Frameworkは自分なりに改良していくのが理想だと思います (守破離)。