2022年8月、福島第一原発の廃炉状況の視察をさせて頂きました。実際に原発の廃炉作業に携わる方々のお話や汚染状況のデータなどに触れることができ,非常に有意義な経験となりました。特に現在の汚染状況や、廃炉に伴って生じる処理済みの汚染水などの実情はメディアによる報道から受ける印象とは大きく異なるように感じました。現地での廃炉作業は瓦礫の移動や雨水・地下水などを通じた二次的な汚染を防ぐ為に様々な工夫が施されており、安全性に配慮しながら着実に進んでいる様子でした。原子力発電については様々な懸念や不安が取り上げられることが多々ありますが、その恩恵にあずかってきた一人として、印象や偏見に振り回されず現状を正しく把握することの重要性を改めて感じました。
今回の視察は原発への考え方の変化を齎しただけでなく、研究のモチベーション向上にも繋がったように感じます。このような貴重な経験をさせて頂いたことに改めて感謝を申し上げたいです。
(工学部・情報工学コース4年 毛束隆太)

この度は「いちえふ」(福島第一原子発電所の通称)に足を踏み入れる機会が与えられ、2011年3月11日以降、私の中に人知れずあった「偏見」や「風評」が「正しい現状の理解」へと変わりました。東京電力の方より頂いた多くの資料と共に帰りました。小槻研究室までぜひ「真実」を覗きにいらして下さい。
(飯塚かつら)

福島第一原発を視察させていただき、震災当時の津波の威力や、原子炉での異常事態の深刻さが身に沁みました。また、今日までたくさんの人々の努力によって除染作業、地域の復旧が進められてきたことが理解できました。しかし、現地での除染、復旧状況は、過去の自分を含め、世の中の多くの人に浸透していない現状があることもわかりました。科学的な根拠のもとに、ものごとの安全性を正しく人に伝えるためには、どうすればいいのか、一科学者として考えさせられました。
(武藤裕花)

今回の視察は、環境省推進費「原発事故地域における森林火災後の放射性物質・再拡散予測システムの開発」(代表: 福島大学・五十嵐康記)の一環として実施しました。福島第一原発については、最近の汚染水など数々の報道がありますが、やはり現場を訪れ、自分の目で見て理解に努めることで、情報の肌感覚が全く異なることを改めて実感しました。私が個人的に印象深かったのは、科学コミュニケーションの難しさです。現在の汚染水の対策などは、現場で説明を受けると、「数値」としては過分な対応をしていると感じました。それでも、住民の理解を得るのは難しい問題です。私が関わるムーンショット・気象制御研究も、これから10年20年かけて国民・国際的理解を得ていかねばならないプロジェクトです。近藤先生がいつもおっしゃることですが、「科学技術を創ること」を、「科学技術が社会で活かされること」に結び付けるために、私自身も社会合意形成に関する理解を深めねばならないと感じました。心に刻もうと思います。
(小槻峻司)

最後に、今回の出張のとりまとめをしてくださった福島大学の五十嵐康記先生、東京電力の皆さまには貴重な機会を提供して頂くと同時に、現場での丁寧な説明など、大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。なお、既に福島第一原子力発電所の構内は線量も落ち着いており、視察は安全に実施されました。
(一同)

(1枚目)視察中の1コマ。背後の左右は、廃炉作業中の2・3号機です。
(2枚目)視察風景と1号機建屋。視察日は快晴で、建屋の状況とのコントラストが印象的でした。