2024年12月2日に、小槻・岡﨑研から研究員として金子・黒澤が、学生として河﨑・島袋・井貫が令和6年能登半島豪雨および能登半島地震による被災地の視察を珠洲市にて行いました。今回の視察により各々、災害調査に対する基礎的な知見を身につけるとともに、自然災害に対する今後の研究について再考する機会となりました。
今回の珠洲市への視察は、私にとって初めて被災地を直接訪れる経験となりました。珠洲市は、令和6年1月の能登半島地震および同年9月の能登半島豪雨による被害が現在も色濃く残る地域であり、復興の途上にあります。能登半島豪雨による災害については若山川周辺を調査し、洪水や土砂の痕跡から、線状降水帯による被害の甚大さを改めて実感しました。能登半島地震による災害については宝立町を訪れ、約1年が経過した現在でも全壊・半壊した家屋が広がる光景には非常に大きな衝撃を受けました。また、このような大規模な被害が発生した地域以外でも、生活圏の至る所に瓦礫やブルーシート、道路の亀裂などが残されており、日常生活に密接する被害の影響も無視できないと感じました。
今回の視察では、研究員である金子さんと黒澤さんから被災地調査に向けた事前準備の方法についてご指導していただきました。また、現地では痕跡水位等の観測方法を教えていただき、災害調査における基礎的な知見を学ぶことができました。
今回の視察を通して、豪雨や地震といった自然災害による被害を軽減するための研究の重要性を改めて痛感いたしました。私は現在、線状降水帯の予測精度向上に向けた研究を進めていますが、今回の経験を踏まえ、線状降水帯による被害の軽減に少しでも貢献できるよう、より一層気を引き締めて研究に邁進する所存です。
(河﨑)
今年の始まりは、能登半島地震という衝撃的なニュースから始まりました。家族とともに過ごしていた穏やかな時間が、ニュースの一報で一瞬にして緊張に包まれる感覚を今でも鮮明に覚えています。その後、同年9月に能登半島豪雨が発生し、地震被害から立ち直る間もなく新たな災害が地域を襲いました。自然災害の脅威がどれほど突然で予測困難なものかを改めて実感する出来事でした。
私たちは、被災地の珠洲市を訪れ、現在の復興状況を記録する作業を行いました。被災から一年が経とうとしている現在も、河川に沈んだ家屋、倒壊した建物、土砂崩れで途絶えた道路など、その爪痕が生々しく残っていました。特に海岸近くの町では、多くの家が全壊し、人の気配がほとんど感じられない静けさの中に独特の緊張感が漂っていました。
今回の調査では、金子さんや黒澤さんのご指導のもと、被災箇所の確認作業に取り組みながら、洪水被害の痕跡水深の記録を行いました。調査を通じて、災害現場での安全確保や調査計画の企画・実施手順など、災害調査に必要な基礎的な知見を学ぶ貴重な経験となりました。
現在、私は気候データを高解像度化する手法の開発に取り組んでいます。計算負荷が少ない方法でより多くのデータを活用し、極端な気象現象をシミュレーションすることにより、防災に役立つ成果を目指しています。これらの研究が、自然災害による被害を少しでも軽減し、人々の暮らしを守る一助となることを願い、引き続き全力で研究に励みたいと思います。
(島袋)
能登半島地震および豪雨により大きな被害を受けた地域の1つである珠洲市を訪問し、現在の被害状況を視察しました。メディアや報道を通して目にする被害のイメージと実際に被災地へ赴き自らの目で確認した被害状況は大きなギャップがあり、改めて自然災害の脅威さを感じました。また、崩壊した家屋や道路などが依然としてそのままの状態で残っており、復旧・再建の困難さをひしひしと感じました。
視察中には、金子さん、黒澤さんのご指導の下、簡易的な測量器具を用いて水害時に川の水位がどの程度まで上昇したか、地震により道路がどの程度ずれ落ちたかを確認しました。この調査を通じて、客観的な被害状況を知るという経験をさせていただきました。
私は、台風の予測精度向上を目指したデータ同化技術の開発を行っております。台風も豪雨や地震と並び甚大な被害を及ぼす自然災害であるため、今回の経験をもとに少しでも被害軽減に貢献できるよう、研究を行っていきたいと思います。
(井貫)