研究の意義
- 経験科学は3期のパラダイム、観察科学→理論科学→計算科学を経て発展し、現在は第4のパラダイム・データサイエンスの時代と言われています (Jim Gray 2007)。2020年から運用開始した我が国のフラグシップ・スーパーコンピュータ「富岳」は、「京」の100倍にあたる演算能力に加え、機械学習・AI開発に適したアーキテクチャも獲得しました。気象に代表される大規模並列計算に加え、データサイエンスを推し進める研究環境が、国を挙げて整備されつつあります。
- 我が国においては近年、気候変動の影響とみられる台風や線状降水帯などの激しい水災害が問題となっています。毎年のように豪雨・洪水・氾濫が発生しており、2019年の水害被害額は過去最大の2兆1500億円に上っています。豪雨や洪水等の気象・水文予測精度を向上し、予測情報をダム操作などによる制御・緩和へ活用することは、急務な社会的使命でもあります。
- 研究室では、最新の深層学習技術を活用した災害予測研究を推進しています。深層学習による極端降水の予測や、洪水氾濫の高速計算に取り組んでいきます。
Reference
- Momoi, M., Kotsuki, S., Kikuchi, R., Watanabe, S., Yamada, M., and Abe, S. (2023): Emulating rainfall-runoff-inundation model using deep neural network with dimensionality reduction. Artificial Intelligence for the Earth Systems (AIES), 2, 1-25. doi: 10.1175/AIES-D-22-0036.1
- 白石健太, 武藤裕花, 小槻峻司(2023): 深層学習に基づく超解像技術を用いた降水量データの高解像度化に関する研究.AI・データサイエンス論文集, Vol.4, No.3, 515-521. doi: 10.11532/jsceiii.4.3_515