企業共同研究・寄付金について

研究室ではこれまでも、寄付金・共同研究費を受け入れて研究を進めてきました。これまでの経験も踏まえ、方針・考え方を整理しています。共同研究や技術指導については前向きに検討する予定ですが、知財・論文化・求められている貢献については、事前に協議をお願いしています。

研究費の受入れについて

共同研究
研究室の技術やノウハウを利用し、新たな知的財産を生み出します。共同研究の場合は、知的財産は企業側と大学側の双方に帰属します。特許出願などをする際の持分は契約ごとに定めるため、大学の契約も含めた調整が必要です。技術的・理論的な難易度や、必要な学生・研究員の数によって内容が変わりますので、詳細は個別にご相談ください。

受託研究
委託された研究テーマに基づいて研究室で研究を実施し、成果を委託者に報告する制度です。発明などの知的財産は原則として大学に帰属します。JSTなどの国プロはこの受託研究となります。

学術指導
主に公知の学術情報をもとに,技術指導や各種コンサルティングなどを行います。準備時間・実施場所・指導の態様などを考慮して協議の上で決定します。

奨学寄附金
本学における奨学を目的とする教育及び学術研究に要する経費に充てるものとして、民間企業や個人等から受け入れています。

※間接経費について
共同研究・受託研究・学術指導については、要する直接経費に加えて、大学の研究環境の維持等に充当する間接経費(直接経費の30%)のご負担が必要になります。

企業との共同研究の方針について

大きくは、下記の点を大事にしています。

(1) 末広がりであること

(2) 研究室のメンバーが主著・共著になる論文が出ていくこと

(3) 研究室で開発した知見・技術が、社会に活かされること

一方で、企業として必要な研究の下請けとしての共同研究には消極的です (FY2025時点)。

よくあるコンフリクト

(1) 企業として技術を公知にしたくないので、論文は書く予定はない。しかし、プレスなどは打つ予定であり、その際には千葉大学にも入って頂きたい。

千葉大学大学としてはエビデンスのない研究に関するプレスを避けることと、大学としての研究者の成果を確保するため、「共同研究成果に関するリリースは、査読付き論文に掲載後」となっており、学内のガイドラインにも示されています。ということで、「論文出すつもりはないが、プレスを打つ予定の研究」には対応できません。申し訳ありません。なお、共同研究の開始のプレス発表は、成果に基づかなくても良いとのことです。

こちらの方針は、嫌がられる場合もありますが、論文を出すことが大学の研究者の職務でもありますので、ご理解ください。

奨学寄付金について

研究室の運営について:
大学における研究室は、学生・研究員の指導を通して、社会に出て世の中を支える人材の育成を目指しています。また、基本的に国民の税金で行っている研究活動は、基本的に成果は世に出して、公知の技術にしていくべきだと考えています。教育にも研究にもお金がかかりますが、大学から支援される運営費交付金は非常に限られており、競争的外部資金を獲得しないと満足な教育・研究が行えない環境にあります。大学における研究費の厳しい状況は、新聞・TVなどの各種報道でも良く知られている状況かと思います。例えば、国際的なジャーナルに論文を出版すると、20~50万円の出版費がかかります (ジャーナルによってはもっと高額なこともあります)。また、また国際会議に1名が1週間参加すると、30~50万円の出張費が必要になります。

競争的外部資金の予算獲得に失敗した年は、継続的な教育・研究が困難になります。基本的に研究費は次年度に繰り越すことができませんが、寄付金は年度を越えて利用することが可能な数少ない研究資金となっています。そのため、ご寄付を頂ければ、予算の少ない年を乗り切ることができ,安定的に教育を実施できるので大変助かります。ぜひご検討いただけますと幸いです。

寄付金の管理と使途:
大学によって研究費として管理され、教員個人には一切入りません。頂いた寄付金は、学生・研究員の学会発表・論文発表・研究備品の購入・人件費などに利用させて頂いています。

税制上の優遇について:
法人税法及び所得税法による税制上の優遇措置があります。詳しくはこちらを参照ください。

ご寄付を検討していただける方は、メールでお問い合わせいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。