千葉大学 国際高等研究基幹・学際的先端研究支援プログラム
-- 衛星ビッグデータとデータサイエンスの統合による地球環境・災害予測研究の新展開 --
小槻・市井で提案していました研究課題が、千葉大学 国際高等研究基幹・学際的先端研究支援プログラムに採択して頂きました。樋口先生・入江先生・齋藤先生・楊先生にも研究協力者として参画して頂き、衛星ビッグデータとデータサイエンスによる地球環境・災害予測研究を、2022年度から6年間かけて推進していきます。本プロジェクトのスコープを紹介させて頂きます。
気候変動の影響とみられる台風や線状降水帯などの水災害や、熱波に伴う巨大な森林火災は世界中で激甚化しつつあります。地球環境・気象災害予測技術の向上は喫緊の社会的課題ですが、これまでの数値シミュレーションに基づく予測改善は徐々に技術的成熟を迎えつつあります。本プロジェクトでは、環境リモートセンシング研究センターで蓄積してきた衛星観測ビッグデータを、深層学習を始めとするデータサイエンス技術により統合し、気象環境・災害予測研究の抜本的深化を図ります。具体的には、膨大な静止衛星データを活用した新しいデータ駆動型降水予測を開発し千葉大発・AI天気予報を実現していきます。更に、千葉大独自の陸面環境変動予測システムを開発し、モデル・衛星データ統合により全世界の炭素収支をモニタリングし、猛暑や干ばつなど急激な地球環境変動に伴う環境変動の早期検出やパリ協定におけるグローバルストックテークのインプット等、研究成果を活かした国際貢献を推進します。天気予報技術の高度化や全球陸域炭素収支推定は、人類の安全保障に資する重要な社会価値創造とも位置付けられます。更に、衛星観測データに適した深層学習技術の開発により衛星観測科学におけるAI研究拠点の地位を確立し、各国の静止衛星群を統合する独自の陸域生態系監視プロダクトを開発し、静止衛星データ統合を先導する国際研究拠点を形成していきます。
今回、本プログラムで3件のみ選出されたトップリーダー型での採択となり、大学からの高い期待を実感しています。ヒアリングを通して (1) 大型研究予算の獲得、(2) 産学連携、(3) 社会実装などによる大学のプレゼンス向上 への期待されている点が強調されました。特に、企業との共同研究については、具体的に形にしていくための活動が必要となってきます。支援は良い面だけではなく、確実に成果を挙げる責務も同時に生じます。本プロジェクトを通して世界をリードする先端科学成果を創出していけるよう、一層の研鑽に励みたいと思います。
(小槻峻司・市井和仁)
図: 研究プロジェクトの概要。これまでのCEReSの強みである地球観測ビッグデータにデータサイエンス技術を統合し、地球環境・災害予測研究を推進していきます。